借金は本当に時効になる?5年・10年ルールと“成立しない典型パターン”を整理しよう

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借金時効
借金時効

借金には「時効」があります。
長期間返済していないと、「時効になるのでは?」と期待する人もいるでしょう。

しかし、法律上は時効が存在していても、実際は成立しないケースがほとんどです。

また、時効が成立したからといって必ず得をするわけでもありません。
知識がないまま時効成立に踏み切ると、思わぬデメリットやリスクが生じることもあります。

本記事では借金の時効の基本ルール(5年・10年)から時効が成立しないパターン、時効援用のデメリットやリスクまで徹底解説します。

借金の時効に期待している人や現在返済に困っている人は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 借金の時効はケースにより5年もしくは10年となる
  • 借金の時効が成立しない5つの典型パターン
  • 自分の借金が時効かどうか調べる具体的な方法
  • 時効援用の手続き方法と弁護士・司法書士の費用比較
  • 裁判・差し押さえと時効の関係
  • 時効援用後もブラックリストは残る

Table of Contents

    目次

    借金の時効とは?5年・10年ルールの基本を理解しよう

    借金の時効とは、一定期間が経過すると債権者が返済を請求できなくなる仕組みです。
    法律上は「消滅時効」と呼ばれます。

    以前は債権者や債権の内容によって時効期間等のルールが細かく決められていました。
    しかし、2020年4月に民法改正で時効期間のルールが統一されました。

    「時効」と言っても時間が過ぎれば自動的に借金が消えるわけではありません。
    時効を成立させるには「時効援用」という手続きが必要です。

    まずは、借金の時効について基本を確認しましょう。

    借金の時効のポイント

    • 金融機関からの借金は時効期間5年
    • 個人間の借金は借金の状況により5年または10年
    • 時効の起算点は借金の形態によって変わる

    金融機関からの借金:時効期間5年

    金融機関からの借金の時効期間は、実務上5年で扱われます

    これは2020年4月1日の民法改正で、時効期間のルールが整理されたためです。
    改正前は、「商事債権は10年、民事債権は5年または10年」と複雑に分かれていました。

    民法166条1項では、以下のうち早い方が時効期間として適用されると定められています。

    • 債権者が権利を行使できることを知った時から5年
    • 債権者が権利を行使できる時から10年

    金融機関からの借金は、借金の発生時から債権者(金融機関)が権利を認識しています。
    そのため、実質的に時効期間5年が適用されるのです。

    債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
    一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
    二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

    引用:民法166条1項(e-Gov法令検索)

    ■借金の種類別・時効期間の一覧
    借金の種類 時効期間の目安
    消費者金融からの借金 5年
    銀行カードローン 5年
    クレジットカードキャッシング 5年
    個人間借金(借用書あり・返済期日明記) 5~10年
    個人間借金(借用書なし・返済期日の定めなし) 5~10年
    判決確定後の借金 10年
    参考:民法166条・169条(e-Gov法令検索)

    個人間の借金:時効期間5年または10年

    個人間の借金は、民法166条1項により時効期間5年もしくは10年です。

    民法166条1項では、以下のうち早い方を時効期間として適用すると定めています。

    • 債権者が権利を行使できることを知った時から5年
    • 債権者が権利を行使できる時から10年

    ただし、個人間の借金では、金融機関のように債権者が権利を認識する時期が明確でないケースも。
    そのため、時効期間が5年になるか10年になるかは状況によって異なります。

    時効期間を確認する方法としては、以下が挙げられます。

    • 借用書に記載されている返済期日
    • 銀行口座の引き落とし履歴
    • 債権者とのメッセージのやり取り

    基本的には5年で時効となるケースが多いですが、状況によって時効期間が変わることを理解しておきましょう。

    個人間借金の時効期間の判断基準

    • 5年が適用されるケース:借用書があり、返済期日が明記されている場合
    • 10年が適用されるケース:借用書がない、または返済期日の定めがない場合
    • 判断が難しいケース:口頭での返済約束のみ、借用書はあるが返済期日の記載なし

    時効はいつからカウントされる?

    借金の時効は「債権者が権利を行使できる時の翌日」からカウントが始まります。

    ここでいう権利行使とは、債権者が債務者に返済を請求できる状態のこと。
    時効のカウントが始まる起算点は、民法166条1項で定められています。

    ただし、「権利を行使できる日」は、借金の形態によって変わる点に注意が必要です。

    借金形態ごとの起算点

    • 一括返済で返済期日が決まっている場合:起算点は「返済期日(弁済期)の翌日」
    • 返済期日の定めがない個人間の借金の場合:起算点は「貸付日(お金を貸し借りした日)の翌日」
    • 分割返済の場合:起算点は「期限の利益を喪失した日の翌日」

    期限の利益の喪失」とは、債務者が滞納等で分割返済の権利を失い、残りの借金を一括返済しなければならなくなること。
    分割返済の場合、期限の利益が喪失した日の翌日が起算点となります。
    「最終返済日」と誤解されることが多いため、注意しましょう。

    また、これらの起算点は後述する「時効の更新事由」がないことが前提となります。

    借金の時効が「成立しない」典型パターン5選

    債権者は時効成立を阻止するため「裁判を起こす」「差し押さえを行う」「催告を送付する」などの対策を講じます。
    また、債務者が債務を承認してしまうケースや時効援用を行わないケースも多く、実際に時効が成立するのは少数です。

    ここからは、時効が成立しない5つの典型パターンを詳しく解説します。
    自分の状況がどのパターンに該当するか確認しましょう。

    時効が成立しない5つの典型パターン

    ①裁判を起こされて判決が確定している
    ②差し押さえ(強制執行)を受けている
    ③債務を承認してしまった【一部返済・支払約束】
    ④内容証明郵便で催告を受けている【6ヶ月の猶予】
    ⑤時効援用の手続きをしていない【援用は必須】

    ①裁判を起こされて判決が確定している

    債権者から訴訟を起こされ判決が確定すると、時効期間がリセット(更新)され、判決確定日から新たに10年の時効期間が始まります
    裁判上の請求(訴訟提起)は、民法147条1項1号で定められた「時効の更新事由」に該当するためです。

    さらに、判決後の時効期間は民法169条1項により10年となり、時効成立がさらに困難になります。
    5年経過していた借金でも時効はリセットされ、そこから10年間は時効が成立しません。

    次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあって、終了した時から六箇月を経過する)までの間に時効は完成しない。
    一 裁判上の請求
    二 支払督促
    三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停
    四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

    引用:民法147条1項(e-Gov法令検索)

    確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。

    引用:民法169条1項(e-Gov法令検索)

    裁判による時効への影響

    • 訴訟提起により時効が更新(リセット)される
    • 判決確定後は時効期間が10年に延長される
    • 5年経過していても判決により時効がゼロからやり直しとなる
    • 実質的に時効成立が極めて困難になる

    ②差し押さえ(強制執行)を受けている

    給与・預金・不動産などの差し押さえ(強制執行)を受けると、時効が更新され差し押さえの効力が続く限り時効は進行しません。

    強制執行は、民法147条1項2号で定められた「時効の更新事由」に該当します。
    執行手続きが終了するまで時効は進行しません。

    また、差し押さえは確定判決または支払督促が前提です。
    仮に差し押さえが終了しても、時効期間は自動的に10年となります。

    差し押さえが継続している間は時効が完成しないため、実質的に時効成立は不可能と言えるでしょう。

    差し押さえによる時効への影響

    • 差し押さえ(強制執行)により時効が更新される
    • 差し押さえの効力が続く限り時効は進行しない
    • 差し押さえには判決が前提となるため時効期間は10年
    • 給与・預金・不動産などあらゆる財産が対象となる

    ③債務を承認してしまった【一部返済・支払約束】

    借金の時効は、債務者の言動によりリセット(更新)されることがあります。

    債務承認とみなされる行為の例

    • 借金の一部を返済する
    • 「少し待ってほしい」と支払猶予を依頼する
    • 「分割で返済したい」と申し出る
    • 「借金があることは認めます」と発言する
    • 返済計画書や和解書にサインする
    • 債権者からの電話で借金の存在を認める

    これらの言動は「債務の承認」とみなされ、時効がリセット(更新)される可能性があるため注意しましょう。
    債務の承認は民法152条1項で定められた「時効の更新事由」に該当し、承認した時点から新たに5年の時効期間が始まります。


    時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
    引用:民法152条1項(e-Gov法令検索)

    時効を期待している場合、債権者からの連絡には慎重な対応が必要です。
    誤って債務を承認すると、時効期間がリセットされ再び5年間待つことになります。

    ④内容証明郵便で催告を受けている【6ヶ月の猶予】

    債権者から内容証明郵便で催告を受けると、時効の完成が6ヶ月間猶予されます。
    この6ヶ月以内に債権者が訴訟を起こせば、時効はリセット(更新)です。

    催告は民法150条1項で定められた「時効の完成猶予事由」に該当し、時効成立を6ヶ月間延期する効果があります。

    債権者は通常、時効直前に催告を行います。
    猶予期間内に訴訟を提起する戦略をとるため、催告を受けた時点で実質的に時効が更新されるケースがほとんど。

    催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
    引用:民法150条1項(e-Gov法令検索)

    催告による時効への影響

    • 催告により時効の完成が6ヶ月間猶予される
    • 催告から6ヶ月以内に訴訟提起されれば時効は更新される
    • 債権者は時効直前に催告を行い、その後訴訟提起する戦略を取る
    • 催告を受けた時点で時効成立の可能性は大幅に低下する

    ⑤時効援用の手続きをしていない【援用は必須】

    時効期間が経過しても、債務者が「時効援用」の手続きを行わない限り、借金は消滅しません。

    時効は自動的には成立せず、援用手続きが必須です。
    民法145条により、時効の効果を受けるためには「時効の援用」が必要と定められています。

    最高裁判例でも「時効期間が経過しても援用しなければ債権者は請求を続けることが可能であり、債務者は支払義務を負い続ける。」とされています。

    時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
    引用:民法145条(e-Gov法令検索)

    時効援用の重要性

    • 時効期間が経過しても自動的には借金は消滅しない
    • 債務者が時効援用の手続きを行う必要がある
    • 援用しなければ債権者は請求を続けることができる
    • 援用により初めて時効の効果が発生し借金が消滅する

    借金が時効かどうか調べる4つの方法

    自分の借金が時効になっているかを確認する方法として、以下の4つが挙げられます。

    借金の時効を調べる4つの方法

    1. 最終返済日・契約書を確認する
    2. 債権者からの請求書・督促状を調べる
    3. 信用情報機関(CIC・JICC)に照会する
    4. 裁判所からの通知履歴を確認する

    ただし、時効期間の計算には専門的な知識が必要です。
    誤った判断をすると債務承認により時効がリセットされるリスクがあります。

    自己判断せず、弁護士や司法書士に相談しましょう。

    ①最終返済日・契約書を確認する

    契約書・返済明細・通帳記録等から時効の起算点を確認し、その日から5年(または10年)経過しているかを調べます。

    時効の起算点は借金の形態によって異なるため、以下を参考にしてください。

    • 一括返済で返済期日が決まっている場合:「返済期日(弁済期)の翌日」
    • 返済期日の定めがない個人間の借金の場合:「貸付日(お金を貸し借りした日)の翌日」
    • 分割返済の場合:「期限の利益を喪失した日の翌日」

    上記のタイミングから5年または10年経過していれば時効成立の可能性があります。
    ただし、時効の更新事由がないことが前提です。

    契約書・返済明細・銀行通帳の振込記録の他にも、ATM利用明細、クレジットカード明細等で確認できる場合もあります。

    最終返済日の確認方法

    • 契約書や借用書の記載内容を確認
    • 返済明細書やATM利用明細を確認
    • 銀行通帳の振込記録を確認
    • クレジットカード明細を確認

    ②債権者からの請求書・督促状を調べる

    債権者からの請求書・督促状・内容証明郵便の日付を確認し、最後の請求がいつかを調べます。

    単なる請求(催告)では時効は更新されず、6ヶ月の完成猶予があるのみです。
    訴訟提起や支払督促があれば時効はリセット(更新)されます。

    請求書・督促状の確認ポイント

    • 最後の請求書・督促状の日付を確認
    • 内容証明郵便が届いていないか確認
    • 催告では時効は更新されない(6ヶ月の猶予のみ)
    • 訴訟提起や支払督促があれば時効は更新される

    ③信用情報機関(CIC・JICC)に照会する

    CIC・JICCなどの信用情報機関に情報開示請求を行い、借金の契約日・最終返済日・延滞情報を確認します。

    信用情報機関には借金の詳細な履歴が記録されており、契約日・貸付日・最終返済日・延滞の有無などが確認可能です。
    ただし、時効期間経過後は情報が削除されている可能性もあります。

    CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)への開示請求は、郵送・窓口・スマホアプリで可能。
    開示手数料は500円~2,000円程度です。

    主な信用情報機関の情報開示方法

    信用情報機関 開示方法 手数料
    CIC(シー・アイ・シー) 郵送・窓口・スマホアプリ 500円~1,500円
    JICC(日本信用情報機構) 郵送・窓口・スマホアプリ 700円~1,960円
    KSC(全国銀行個人信用情報センター) 郵送・インターネット 1,000円
    参考:CIC公式サイト、JICC公式サイト

    ④裁判所からの通知履歴を確認する【判決・支払督促】

    過去に裁判所から訴状・支払督促・判決書などの通知を受けている場合、時効期間の計算が大きく変わります。

    訴訟提起や支払督促は、時効期間をリセット(更新)する「時効の更新事由」です。
    また、判決が確定すると時効期間は元の期間に関わらず10年に延長されます。

    引っ越し等で受け取っていない場合でも、裁判所からの通知は特別送達で届くため受領記録が残ります。
    公示送達により効力が発生する可能性があるため、注意しましょう。

    裁判所からの通知の確認ポイント

    • 訴状や支払督促を受け取っていないか確認
    • 判決書や和解調書を受け取っていないか確認
    • 判決確定後は時効期間が10年に延長される
    • 引越しで受け取っていなくても公示送達により効力が発生する可能性

    時効援用の手続き方法と費用比較|どこに相談すればいい?

    時効援用の手続きは、内容証明郵便で債権者に時効を援用する意思表示を送付することで行います。
    自分で行うことも可能ですが、専門家に依頼するのが安全です。

    費用相場は弁護士5万円以上、司法書士は5万~8万円。
    訴訟対応が必要な場合は別途費用がかかります。

    時効援用の手続きと費用

    • 内容証明郵便で時効援用の意思表示を送付
    • 自分で行うこともできるがリスクがある
    • 弁護士・司法書士の費用は3万~5万円が相場
    • 時効援用に強い専門家を選ぶことが重要

    時効援用の手続き方法【内容証明郵便の送付】

    時効援用は、債権者に対して「時効を援用します」という内容の書面を内容証明郵便で送付する手続きです。
    配達証明付きで送ることで、援用の証拠を残します。

    時効援用は「債務者の意思表示」であるため、書面で明確に伝える必要があります。
    内容証明郵便を使用することで、いつ・誰に・どのような内容を送ったかを郵便局が証明してくれますよ。

    内容証明郵便は、郵便局で作成・送付が可能です。
    費用は書類の枚数や郵便オプションによって変動します。

    時効援用通知書の記載内容については、以下を参考にしてください。

    時効援用通知書の記載内容

    • 債権者の名称・住所
    • 債務者の氏名・住所・生年月日
    • 借金の契約日・契約番号
    • 契約金額または借入金額
    • 最終返済日
    • 時効を援用する旨の明確な記載
    • 日付と署名

    自分で時効援用できる?リスクと注意点

    自分で時効援用することは可能ですが、おすすめはできません。
    時効期間の計算ミス・時効の更新事由の見落とし・債権者との交渉リスクなどがあると手続きは失敗します。

    時効援用には法的知識が必要不可欠。
    誤って債務を承認すると時効がリセットされる可能性もあるため、専門家に依頼するのが最善です。

    自分で時効援用する際のリスク

    • 時効期間の計算ミス(判決後は10年)
    • 債権者からの連絡に対して債務承認してしまう
    • 時効の更新事由を見落とす
    • 内容証明郵便の作成ミス
    • 訴訟を起こされた場合の対応ができない

    弁護士・司法書士の費用比較

    日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会の報酬基準では、時効援用の弁護士費用は5万円以上、司法書士費用は5万~8万円が相場。
    債権者が1社増えるごとに追加費用がかかる場合が多いです。

    時効援用は比較的シンプルな手続きのため、弁護士・司法書士ともに費用は低めに設定されています。
    ただし、訴訟対応が必要な場合は別途費用がかかります。

    ■弁護士・司法書士の時効援用費用比較

    専門家 費用(1社あたり) 対応範囲 メリット
    弁護士 5万円以上 時効援用・訴訟対応・差し押さえ対応 訴訟対応も可能、借金額の制限なし
    司法書士 5万~8万円 時効援用(140万円以下の借金) 費用が安い、140万円以下なら対応可能
    自分で手続き 内容証明郵便代のみ 時効援用のみ 費用が最も安い
    参考:日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会の報酬基準

    時効援用に強い専門家の選び方

    専門家に依頼する際は時効援用の実績が豊富で、債務整理を専門とする弁護士・司法書士を選びましょう。
    「初回相談無料」「明確な料金体系」「対応の丁寧さ」なども重要なチェックポイントです。

    時効援用は債務整理の一種であり、実績豊富な専門家の方が時効の更新事由の見落としを防げます。
    また、時効援用が難しい場合の代替案(債務整理)も提案してもらえますよ。

    時効援用に強い専門家の選び方

    • 債務整理を専門としている
    • 時効援用の実績が豊富
    • 初回相談無料
    • 料金体系が明確
    • 対応が丁寧で説明がわかりやすい
    • 法テラスの利用が可能(収入要件を満たす場合)

    専門家選びには、日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会のウェブサイトを活用しましょう。
    収入が一定以下の場合は、法テラス(日本司法支援センター)で無料相談や費用立替制度を利用可能です。

    借金の時効と裁判・差し押さえの関係

    裁判(訴訟提起・判決確定)や差し押さえ(強制執行)は、時効に大きく影響します。
    具体的には、「時効の更新(リセット)」と「完成猶予(一時停止)」です。

    「時効の更新(リセット)」とは、時効期間がゼロにリセットされること。
    「時効の完成猶予」とは、時効の完成が一時的に停止することを言います。

    裁判や差し押さえは、いずれも時効の更新事由です。
    そのため、行われた時点で時効期間がリセットされ、最初から再カウントされます。

    ここからは、裁判・差し押さえと借金の時効の関係について解説します。

    裁判・差し押さえと時効の関係

    • 裁判を起こされると時効が更新(リセット)される
    • 差し押さえを受けると時効が更新される
    • 内容証明郵便で催告を受けると6ヶ月の猶予が発生

    裁判を起こされたら時効はリセットされる【時効の更新】

    債権者から訴訟を起こされると「時効の更新」が発生し、時効期間がリセット。
    その後、判決が確定すると、新たに10年の時効期間が始まります。

    訴訟提起は「時効の更新事由」のため、判決確定により時効がゼロからやり直しとなります。
    時効成立は極めて困難になるでしょう。

    裁判による時効の更新

    • 訴訟提起により時効が更新(リセット)される
    • 判決確定後は時効期間が10年に延長される
    • 5年経過していても判決によりゼロからやり直し
    • 実質的に時効成立が極めて困難になる

    差し押さえを受けると時効リセット+進行停止【強制執行の影響】

    給与・預金・不動産などの差し押さえ(強制執行)を受けた場合、時効が更新されます。
    差し押さえの効力が続く限り時効は進行しません。

    強制執行は時効の更新事由です。
    執行手続きが終了するまで時効の進行は止まります。

    また、差し押さえは確定判決が前提となるため、時効期間は判決確定日から10年となります。

    差し押さえによる時効の更新

    • 差し押さえ(強制執行)により時効が更新される
    • 差し押さえの効力が続く限り時効は進行しない
    • 差し押さえには判決が前提となるため時効期間は10年
    • 給与・預金・不動産などあらゆる財産が対象

    内容証明郵便が届いたら6ヶ月の猶予【時効の完成猶予】

    債権者から内容証明郵便で催告を受けると時効の完成が6ヶ月間猶予され、この間に訴訟を起こされれば時効は更新されます。

    催告は、時効の完成猶予事由。
    時効成立を6ヶ月延期する効果があります。

    債権者は通常、この猶予期間内に訴訟を提起するため、実質的に時効が更新されるケースが多いです。

    催告による時効の完成猶予

    • 催告により時効の完成が6ヶ月間猶予される
    • 催告から6ヶ月以内に訴訟提起されれば時効は更新される
    • 債権者は時効直前に催告を行い、その後訴訟提起する戦略を取る
    • 催告を受けた時点で時効成立の可能性は大幅に低下

    裁判・差し押さえと時効の関係まとめ

    • 裁判を起こされると時効が更新(リセット)され10年に延長
    • 差し押さえを受けると時効が更新され進行しない
    • 内容証明郵便で催告を受けると6ヶ月の猶予が発生
    • 時効の更新と完成猶予は異なる概念
    • 実務上、債権者は時効成立前に訴訟を起こすケースが多い

    借金の時効とブラックリスト・信用情報の関係

    時効援用後の借金について信用情報には「契約終了」として記載されますが、過去の長期延滞歴や債務整理の事実が消えるわけではありません。
    別途保存期間があるため、最低でも5~10年は記録として残ります。

    ここからは、借金の時効と信用情報の関係について解説します。

    時効とブラックリストの関係

    • 時効援用してもブラックリストは一定期間残る
    • 信用情報の回復には5~10年かかる
    • 時効成立後もクレジットカードやローンは審査が厳しい

    時効援用してもブラックリストは消えない?

    時効援用しても、信用情報のキズ(いわゆるブラックリスト)はすぐには消えません。

    信用情報機関(CIC・JICC)では、延滞情報や債務整理情報が一定期間保存されます。
    時効援用については「契約終了」として記録されますが、過去の延滞情報等には別途保存期間があります。

    例えば、延滞情報は時効援用後も5年ほど記録が残るとされています。

    時効援用後の信用情報の記録

    • 時効援用は「契約終了」として記録される
    • 過去の延滞情報は5年間保存される
    • 判決・差し押さえ情報は10年間保存される
    • 時効援用してもすぐにはブラックリストから消えない

    時効成立後も信用情報の回復には5~10年かかる

    時効援用後、信用情報が回復するまでには5~10年かかります。
    信用情報の保存期間は情報の種類により異なり、延滞情報は5年、裁判所の判決情報(官報情報)は10年保存です。

    時効援用しても、これらの情報は別途保存期間が経過するまで残るため注意しましょう。

    ■信用情報の保存期間

    情報の種類 保存期間
    延滞情報 延滞解消日から5年
    債務整理情報(任意整理・個人再生) 契約終了日から5年
    自己破産情報 免責決定日から5年(CIC・JICC)、10年(KSC)
    判決・差し押さえ情報 判決確定日から10年
    参考:CIC公式サイト、JICC公式サイト

    時効成立後にクレジットカードやローンは組める?

    時効成立後も信用情報が回復するまで(5~10年)は、クレジットカード作成や住宅ローン審査は困難です。

    金融機関は審査時に信用情報を照会します。
    延滞情報や債務整理情報があると、審査に通るのは難しいでしょう。

    時効援用後も、信用情報にキズが残る期間は新規借入を避けた方が無難です。
    信用情報回復後は通常通り審査を受けられるようになります。

    時効援用後のクレジットカード・ローン審査

    • 延滞情報や債務整理情報がある間は審査に通りにくい
    • 信用情報の保存期間(5~10年)が経過すれば通常通り審査を受けられる
    • 一部の金融機関では独自の審査基準がある
    • デビットカードやプリペイドカードは審査なしで発行可能

    時効援用のデメリットと失敗時のリスク

    時効援用にも、デメリットやリスクがあります。
    場合によっては損をしてしまう可能性もあるため、事前にデメリットを確認しておきましょう。

    ここからは、時効援用のデメリットとリスクについて詳しく解説します。

    時効援用のデメリットと失敗時のリスク

    • 信用情報への影響・債権者との関係
    • 時効援用失敗時の借金継続・遅延損害金の加算
    • 時効が難しい場合の代替案(債務整理)

    時効援用のデメリット【信用情報・債権者との関係】

    時効援用のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
    ①信用情報に記録が残る
    ②債権者との関係が悪化する

    時効援用により借金は消滅し、信用情報には「契約終了(時効)」として記録されますが、延滞歴や債務整理歴には別途保存期限があります。

    時効援用で過去の延滞や債務整理の記録が消えることはありません。
    「借金が消滅=ブラックリストから外れる」ではないことを理解しておきましょう。

    また、債権者との関係が悪化することも覚悟しなければなりません。

    時効援用は、債権者にとって貸したお金が返ってこないことを意味します。
    個人間の借金の場合、法的なリスクよりも人間関係の喪失というデメリットが非常に重くなることに注意が必要です。

    時効援用のデメリット

    • 信用情報に「契約終了(時効)」として記録される
    • 借金が消滅してもブラックリストは消えない
    • 債権者との関係が悪化する可能性

    時効援用に失敗したらどうなる?【借金継続・遅延損害金】

    時効援用に失敗すると、以下のようなリスクがあります。
    ①借金の返済が継続される
    ②遅延損害金が加算される
    ③訴訟を起こされる可能性が高まる

    「時効援用の失敗」とは、時効期間の計算ミスや時効の更新事由の見落とし等を指します。
    失敗すると債務者が借金の存在を認めたことになり、債権者は訴訟を起こしやすくなる点が時効援用のリスクです。
    もちろん、借金の返済義務も継続します。

    また、遅延損害金(上限年利20%)が元本に加算されるため注意しましょう。

    時効援用失敗時のリスク

    • 借金の返済義務が継続する
    • 遅延損害金(上限年利20%)が元本に加算される
    • 長期間放置すると元本と同額以上に膨らむ
    • 債権者が訴訟を起こしやすくなる
    • 判決確定すれば時効期間が10年に延長される

    遅延損害金は、利息制限法により上限が年20%程度に定められており、多くの金融機関ではこの上限に近い利率で設定されています。
    長期間放置すると元本と同額以上に膨らむ可能性もあるため注意が必要です。

    さらに、時効援用失敗により債権者が訴訟を起こし、判決確定すれば時効期間は10年に延長されます。
    時効援用の失敗には大きなリスクを伴うことを理解しておきましょう。

    時効が難しいときは債務整理を検討しよう

    時効成立が難しい場合、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)を検討しましょう。
    債務整理により、合法的に借金を減額・免除できます。

    任意整理は利息をカットし元本のみを3~5年で返済。
    個人再生は借金を最大9割減額し3年で返済。
    自己破産は借金を全額免除します。

    ■債務整理の種類と効果

    債務整理の種類 効果 メリット デメリット
    任意整理 利息をカット、元本のみを3~5年で返済 裁判所不要、柔軟な返済計画 元本は減額されない
    個人再生 借金を最大9割減額、3年で返済 持ち家を残せる、大幅な減額 裁判所手続きが必要、安定した収入が必要
    自己破産 借金を全額免除 借金がゼロになる 財産を失う、一定の職業制限
    参考:債務整理の種類と効果(民法・民事再生法・破産法)

    【FAQ】借金の時効に関するよくある質問

    当サイトの管理者
    牧江重徳

    社会保険労務士法人 牧江&パートナーズ
    会長 牧江 重徳(まきえ しげのり)

    【資格】
    特定社会保険労務士
    行政書士
    社会福祉士・介護福祉士・ケアマネージャー

    関西大学卒業後、約10年間の会社勤務を経て、昭和52年8月、社会保険労務士として独立しました。
    同年10月には行政書士事務所を併設。平成31年には事務所を法人化しました。

    「常にお客様と共にあり」をモットーとして、多くのお客様からご愛顧を賜り、創業50周年を迎えます。
    現在、職員60人を擁する西日本有数の社会保険労務士法人に成長しました。