育児休業給付の給付率の8割程度(手取り10割相当)への引き上げ/条件に14日以上休業など
厚生労働省から、令和5年11月13日に開催された「第186回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」の資料が公表されました。
今回、育児休業給付等及び教育訓練給付等について、これまでの議論の整理と見直しの方向性が示されました。
特に、育児休業給付等のうち、「育児休業給付の給付率の引上げに関する検討の方向性」が、報道などで話題になっています。
その概要は、次のとおりです。
育児休業給付の給付率の引上げに関する検討の方向性(案)
【制度概要】
子(養子を含む。)の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合
(例えば、男性が一定期間以上の「産後パパ育休」を取得するとともに、女性が産休を取得し、産休後8週間以内に育児休業を取得した場合)
28日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度に、給付率を現行の67% (手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで10割相当)へと引き上げる。
- 「一定期間以上の育児休業」については、男性の育児休業取得者の約5割が2週間未満の取得に留まっている実態を踏まえ、14日以上の育児休業を取得することを要件としてはどうか。
- 本給付は、子の出生後の一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するものであることを踏まえ、 育児需要が高い子の出生直後の一定期間以内(具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に取得する育児休業を対象としてはどうか。
- 給付率の引上げの対象となる育児休業については、子の出生直後から育児休業を取得する場合もあることから、「産後パパ育休」だけでなく育児休業を取得した場合も対象としてはどうか。
- 被保険者とその配偶者の両方が育児休業を取得することを要件としてはどうか。その場合、配偶者が育児休業を取得することができない場合は、配偶者の育児休業取得を要件としない取扱いとしてはどうか。
- また、「共働き・共育て」を推進する観点からは、配偶者が産後休業を取得している場合には、配偶者の育児休業取得を要件としない取扱いとすることとしてはどうか。
育児時短就業給付(仮称)の創設に関する検討の方向性(案)
【制度概要】
被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付を支給する。
- 被保険者の要件は、現行の育児休業給付と同様(開始日前2年間にみなし被保険者期間が12ヶ月以上あること)としてはどうか。
- 柔軟な働き方を支える観点から、給付対象となる時短勤務の労働時間(又は日数)について、制限を設けないこととしてはどうか。
- 男女ともに時短勤務を活用した育児とキャリア形成の両立を支援し、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間での勤務することを推進する観点から、就業促進的な給付設計とし、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の一定割合を支給することとしてはどうか。
- 給付水準を設定するに当たっては、以下の点を考慮することとしてはどうか。
- 職場を支えている他の労働者の理解を得ながら、希望する者が気兼ねなく時短勤務を取得できるようにすること。
- 他の給付(高年齢雇用継続給付)と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務前の賃金を超えないようにすること。
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