【2026年4月導入】独身税が話題!対象者やいくら払うのか、世間の反応について徹底解説

makieoffice社労士コラム

【2026年4月導入】独身税が話題!対象者やいくら払うのか、世間の反応について徹底解説

2026年4月から「独身税」または「子無し税」が導入されるという話題がSNSやニュースで大きく取り上げられています。「独身だけが払うの?」と不公平に感じたり、「本当に導入されるの?デマでは?」「いくら払うことになるの?」という疑問を持ったりする人も多いはず。

SNSで噂されていた「独身税」はデマではなく、実際に制度として導入されるものです。ただし、正式名称は「子ども・子育て支援金制度」であり、「独身税」や「子無し税」という名前は通称・俗称です。また、独身者だけでなく、子どもを扶養していない人(子なし夫婦を含む)が対象となります。

この記事では、「独身税」の真相や対象者、負担額、使途、世間の反応などを徹底的に解説します。

「独身税(子ども・子育て支援金制度)」は2026年4月から本当に導入される!

「独身税」という言葉がSNSやメディアで話題になっていますが、正式名称は「子ども・子育て支援金制度」であり、「独身税」は通称・俗称です。

ここでは、独身税(子ども・子育て支援金制度)の正式名称、概要、導入される背景と目的、健康保険料に上乗せされる仕組みについて、初心者にも分かりやすく解説します。

独身税の正式名称(子ども・子育て支援金制度)と概要

「子ども・子育て支援金制度」は、厚生労働省およびこども家庭庁(2023年に新設された子育て政策を統括する行政機関)が正式に発表した制度です。

2024年6月12日に国会で関連法案が可決・成立しました。この制度は、厳密には「税」ではなく「支援金」という位置づけです。健康保険料と合算して徴収されるため、社会保険料の一種として扱われます。

項目

内容

正式名称 子ども・子育て支援金制度

通称

独身税
性質 社会保険料(税ではない)
徴収方法 健康保険料に上乗せ、給与天引き

施行時期

2026年4月(令和8年度)

出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」

独身税が導入される背景・目的|少子化対策の一環

独身税の主な導入目的は、出生率向上と子育て世帯の経済的負担の軽減です。

2023年の合計特殊出生率は1.20と過去最低を記録し、少子化対策は喫緊の課題となっています。政府は2023年12月に少子化対策の基本方針である「こども未来戦略」を閣議決定し、年間約3.6兆円の追加予算が必要と試算しました。その財源の一部(約1兆円)を「子ども・子育て支援金」で賄う計画です。

少子化の進行は、将来の労働力不足、社会保障制度の維持困難、経済成長の鈍化など、日本社会全体に深刻な影響を及ぼします。そのため、社会全体で子育てを支える仕組みとして、この支援金制度が導入されることになりました。

独身税は健康保険料に上乗せされる仕組み

独身税は2026年4月から毎月の健康保険料に少しだけ上乗せされ、給与から自動的に天引きされる形で徴収されます。2024年6月12日に国会で「子ども・子育て支援法改正案」が可決され、2026年4月(令和8年度)からの施行が正式に決定しました。

具体的な徴収の流れは以下の通りです。

  1. 標準報酬月額の決定:給与額に応じて標準報酬月額(給与を等級ごとに区分した目安額)が決定される
  2. 支援金率の適用:標準報酬月額に支援金率(約0.1~0.2%)を掛けて支援金額を算出
  3. 労使折半:算出された支援金額を企業と従業員で折半
  4. 給与天引き:健康保険料と合算して、毎月の給与から自動的に天引き

出典:厚生労働省「子ども・子育て支援金の徴収方法」

このように、健康保険料の仕組みをそのまま活用するため、新たな手続きや申告は不要です。会社員であれば、給与明細に「子ども・子育て支援金」という項目が新たに追加されます。

独身税の対象者は誰?何歳から何歳まで?

ここでは、誰が独身税の課税対象となるのかを詳細に解説します。

対象者の基本条件|子どもを扶養していない健康保険加入者

独身税の課税は「健康保険に加入しており、かつ子ども(18歳未満)を扶養していない人」が対象となります。独身・既婚の別は問いません。

  • 健康保険(協会けんぽ、組合健保、国民健康保険など)に加入している
  • 18歳未満の子どもを健康保険の扶養家族として登録していない
  • 会社員、自営業者、パート・アルバイト(社会保険加入者)など、働いている

制度の趣旨は「子育てをしていない人が、子育て世帯を支援する」というものであり、婚姻状況ではなく「子どもを扶養しているかどうか」が判断基準となります。

シングルマザー・シングルファザーは対象外

制度の趣旨は子育て世帯を支援することであり、シングルマザー・シングルファザーは子育てをしている当事者であるため、支援金の負担対象から除外されます。

具体的には、以下の条件を満たす人は対象外です。

  • 18歳未満の子どもを健康保険の扶養家族として登録している
  • 子どもと同居し、実際に養育している

養育費を受け取っているかどうかは関係なく、「子どもを扶養しているかどうか」が判断基準です。

離婚して子どもを養育していない場合は対象

離婚して子どもを養育していない(扶養していない)場合は、支援金の対象となります。養育費を払っていても扶養控除の対象でなければ負担が必要です。

例えば、以下のようなケースが対象となります。

  • 離婚して、子どもの親権が元配偶者にある
  • 養育費は支払っているが、子どもは元配偶者の健康保険の扶養に入っている
  • 離婚して、子どもと別居している

年齢制限はある?学生は対象?高齢者は?

健康保険料と同様の仕組みのため、健康保険に加入している全ての人が対象となります。学生でもアルバイト等で社会保険に加入していれば負担が発生します。75歳以上は後期高齢者医療制度に移行するため、その時点で負担は終了します。

具体的には、以下のような取り扱いとなります。

区分 対象 備考
学生(社会保険加入) 対象 アルバイト等で社会保険に加入している場合
学生(親の扶養)

対象外

親の健康保険の扶養家族の場合
65~74歳(健康保険加入) 対象 働いており、健康保険に加入している場合

75歳以上

対象外 後期高齢者医療制度に移行するため

独身税はいくら払う?年収別の負担額をシミュレーション

では、独身税は一体いくら差し引かれるのでしょうか。ここでは、年収300万円、500万円、700万円、1,000万円など複数のケースを想定して、負担額の計算方法と上限についてシミュレーションします。

年収別の負担額一覧表

シミュレーションすると、年収に応じて月数百円〜千円程度の負担となることが分かりました。

標準報酬月額(給与を等級化したもの)に応じて支援金額が決定され、おおむね給与の0.1〜0.2%程度が目安となります。以下の表は、2025年度時点での試算に基づく概算です。

年収 月額負担(概算) 年間負担(概算) 標準報酬月額(目安)
年収200万円 約200円 約2,400円 約17万円
年収300万円 約300円 約3,600円 約25万円
年収400万円 約400円 約4,800円 約33万円
年収500万円 約500円

約6,000円

約41万円
年収700万円 約650円 約7,800円 約58万円
年収1,000万円 約850円 約10,200円 約83万円

出典:厚生労働省「子ども・子育て支援金の負担額試算」

※上記は2025年度時点の試算であり、実際の金額は制度の詳細確定後に変動する可能性があります。

年収500万円の場合:月500円程度(年間6,000円)

年収500万円の場合、標準報酬月額は約41万円となり、支援金率0.12%程度を適用すると月492円(約500円)となります。年間では約6,000円の追加負担です。

ただし、企業が半分を負担するため、従業員の実質負担は月250円程度となる可能性もあります(労使折半の場合)。これは、1日あたり約8円〜17円程度の負担に相当します。

年収300万円の場合:月300円程度(年間3,600円)

年収300万円の場合、標準報酬月額は約25万円となり、支援金率0.12%程度を適用すると月300円程度となります。収入が少ない人ほど負担額も少なくなる仕組みです。

年収が低い人への配慮として、負担率は一定ですが、絶対額は年収に比例するため、低所得者の負担が過度に重くならないよう設計されています。

負担額の計算方法と上限

独身税の負担額は、標準報酬月額に支援金率(約0.1〜0.2%)を掛けて計算します。計算式は以下の通りです。

月額支援金 = 標準報酬月額 × 支援金率(約0.1~0.2%)

※労使折半の場合、従業員負担は上記の半分

独身税の負担には上限額(月額139万円程度)が設定されているため、高所得者でも無制限に負担が増えることはありません。

独身税はいつから?2026年4月導入の経緯と世間の反応

独身税は2026年4月に導入されますが、どのようにして導入時期が決められたのか、構想が出来上がったのか気になる人もいるでしょう。ここでは、制度導入の経緯や2025年10月時点での世間の反応について紹介します。

2026年4月導入が決定した背景と今後のスケジュール

2023年に政府によって「こども未来戦略」が策定され、年間約3.6兆円の追加財源が必要とされました。その財源確保策の一つとして、子ども・子育て支援金制度が2024年国会で法制化されました。

具体的な経緯は以下の通りです。

  • 2023年12月:政府が「こども未来戦略」を閣議決定。少子化対策の抜本的強化を表明。
  • 2024年3月:「子ども・子育て支援法改正案」を国会に提出。
  • 2024年6月12日:国会で可決・成立。
  • 2026年4月:制度施行、徴収開始。

今後のスケジュールとして、2025年中に企業の給与計算システムや健康保険組合のシステム改修を完了し、2026年4月給与支給分から天引き開始となります。

具体的なスケジュールは以下の通りです。

  • 2024年6月:法律成立
  • 2024年下半期~2025年:企業・健康保険組合のシステム改修、広報活動
  • 2026年4月:徴収開始(2026年4月給与支給分から天引き)
  • 2026~2028年:段階的に支援金額を増額(初年度約6,000億円→最終的に約1兆円)

独身税は誰が決めた?どの政党が推進?

2023年に自民党の岸田文雄首相(当時)が「異次元の少子化対策」を掲げ、こども家庭庁が中心となって制度設計を行いました。2024年の通常国会で与党が法案を提出し、賛成多数で可決・成立しました。

各党の主な姿勢は以下の通りです。

政党

姿勢

自民党 賛成(法案提出・推進)

公明党

賛成(与党として推進)
立憲民主党 一部修正を求めて反対

日本維新の会

条件付き賛成

共産党

反対

独身税に対する世間の反応は?なぜ話題?

独身税の導入が決まり、世間ではSNSなどを中心に大きな話題を呼んでいます。SNS上では反対意見が多数を占めますが、冷静な議論や賛成意見も一定数存在します。

主な反対意見は以下の通りです。

子どもを持たない・持てない理由は様々であり、一律に負担を求めるのは不公平だ

少子化の原因は経済的困難、長時間労働、教育費の高さなどで、月数百円の支援金では解決しないのでは
「子どもを産まないと罰金」という印象を与え、選択の自由を侵害する

既に高い税金・社会保険料負担がある中、さらに負担が増える

 

上記のように、不公平感や選択の自由、課税負担の増加などの理由で、SNS(X/旧Twitter)では、「#独身税反対」というハッシュタグで多くの意見が投稿されており、特に独身者や子なし夫婦からの反発が強く見られます。

一方で、肯定的な意見も存在します。主な賛成意見は以下の通りです。

将来の社会保障制度を支えるのは今の子どもたちだから、社会全体で子育てを支援するのは合理的だ
月数百円程度の負担であれば、社会貢献として許容範囲だ
子育て世帯の経済的負担が大きい現状を考えれば、一定の支援は必要だ

子育て世帯だけが負担している現状よりも、子どもを持たない人も負担する方が公平だ

 

専門家の間でも意見は割れており、社会保障の専門家からは「財源確保のため一定の負担は必要」という肯定的な意見がある一方、人口学者や家族社会学者からは「経済的支援だけでは少子化は止まらない。働き方改革や教育費負担軽減が先決」という指摘もあります。

少子化という国全体の課題にどう向き合うのか。その答えは、単に賛成・反対の二択ではなく、「どのように負担を分かち合い、どんな支援が必要なのか」を社会全体で考えていくことにあるといえるでしょう。

独身税で集めたお金の使途は?子育て支援の具体的内容

支援金として集められたお金が何に使われるのか、具体的な使途を詳しく解説します。児童手当の拡充、出産・育児一時金の増額、育児休業給付の拡充、保育所整備など、5つの主要施策を紹介します。

児童手当の拡充(所得制限撤廃・支給期間延長)

2024年度から児童手当の所得制限が撤廃され、年収に関係なく全ての子育て世帯が受給できるようになりました。さらに、支給期間が従来の中学生(15歳)まで→高校生(18歳)までに延長され、第3子以降は月3万円に増額されました。

具体的な拡充内容は以下の通りです。

項目 従来

拡充後(2024年度~)

所得制限 あり(年収960万円以上は対象外) 撤廃(全世帯が対象)
支給期間

0~15歳(中学生まで)

0~18歳(高校生まで)
第3子以降の金額 月15,000円 月30,000円

出産・育児一時金の増額

出産費用の上昇に対応するため、出産育児一時金が従来の42万円から50万円に増額されました。これにより出産時の自己負担が減少し、経済的理由で出産をためらうケースが減るのではないかと期待されています。

出産費用の全国平均は約48万円(2023年時点)とされており、一時金50万円でおおむねカバーできる水準です。

育児休業給付の拡充

育児休業期間中の給付率が従来の67%(最初6ヶ月)・50%(以降)から、80%程度に引き上げられることが検討されています。これにより育休取得のハードルが下がり、特に男性の育休取得が増えると期待されます。

また、「産後パパ育休(出生時育児休業)」の給付率も同様に引き上げられ、父親の育児参加を促進する狙いがあります。

保育所・学童保育の整備

都市部を中心に待機児童問題が依然として存在し、共働き世帯の増加に保育施設の整備が追いついていません。支援金を活用して保育所の新設・拡充、保育士の給与改善(月5,000円程度の処遇改善)が行われます。

また、学童保育(放課後児童クラブ)の拡充により、小学生の放課後の居場所確保も進められます。

その他の子育て支援施策

その他の子育て支援施策として、不妊治療への助成拡大、産後ケア施設の整備、子育て世代包括支援センターの全国展開、多子世帯の大学授業料減免など、妊娠から子育て期まで切れ目のない支援が計画されています。

具体的には、以下のような施策が含まれます。

  • 不妊治療への保険適用拡大と助成金の増額
  • 産後ケア施設の整備(産後うつ対策)
  • 子育て世代包括支援センター(こども家庭センター)の全国展開
  • 多子世帯(3人以上)の大学授業料減免
  • 妊娠・出産時の10万円給付

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