中途入社の社会保険料はどう計算する?標準報酬月額と控除時期

makieoffice社労士コラム

中途入社の社会保険料はどう計算する?標準報酬月額と控除時期

中途入社で転職すると、社会保険料がいつから発生するのか。
いくら給与から控除されるのか気になる人は多いでしょう。

結論から言うと、社会保険料は入社日の属する月から発生します。
控除は原則として、翌月の給与からです。
月途中入社でも日割り計算されず、1ヶ月分の保険料が発生する点も押さえておきましょう。

本記事では、中途入社時の社会保険料計算方法について解説。
標準報酬月額の決まり方、月途中・月末入社時の違い、転職後に保険料が高く感じる理由まで詳しく説明します。

この記事でわかること
  • 中途入社の社会保険料の基本的な計算方法
  • 標準報酬月額の決まり方と等級表の見方
  • 社会保険料がいつから発生・控除されるか
  • 月途中入社・月末入社のメリット・デメリット
  • 転職後に社会保険料が高く感じる理由

Table of Contents

    中途入社時の社会保険料は、下記の3つで構成されています。

    • 健康保険料
    • 厚生年金保険料
    • 介護保険料(40歳以上)

    それぞれの保険料は「標準報酬月額×保険料率」で計算され、会社と従業員で折半して負担します。
    ここでは、社会保険料の構成要素と計算式。
    そして月途中入社でも日割り計算されない点について解説します。

    中途入社の社会保険料計算のポイント
    • 社会保険料の構成要素(健康保険・厚生年金・介護保険)
    • 中途入社時の社会保険料の計算式
    • 社会保険料は日割り計算されない

    社会保険料の構成要素(健康保険・厚生年金・介護保険)

    社会保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上65歳未満)の3つで構成されています。
    それぞれ標準報酬月額に保険料率を乗じて算出。
    会社と従業員で折半して負担しています。

    2025年度の保険料率は以下の通りです。

    保険の種類 保険料率 従業員負担 備考
    健康保険 約10.00%
    (全国平均)
    約5.00% 都道府県ごとに異なる
    厚生年金保険 18.3% 9.15% 全国一律
    介護保険 1.59% 0.795% 40歳以上65歳未満が対象

    健康保険料率は都道府県ごとに異なり、2025年度は佐賀県が最も高く10.78%。
    沖縄県が最も低く9.44%となっています。
    厚生年金保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されており、全国一律です。

    また、介護保険料は40歳以上65歳未満の被保険者に適用され、2025年度は1.59%。
    40歳未満の人は介護保険料を支払う必要はありません。

    中途入社時の社会保険料の計算式

    社会保険料の計算式は「標準報酬月額×保険料率」です。
    実際の給与額ではなく、等級ごとに区分された「標準報酬月額」を使用して計算します。

    社会保険料の計算式
    社会保険料 = 標準報酬月額 × 各保険料率
    従業員負担額 = 社会保険料 ÷ 2(労使折半)

    たとえば、標準報酬月額が26万円(東京都・40歳未満)の場合、従業員負担の社会保険料は以下のようになります。

    保険の種類 計算式 従業員負担額
    健康保険料 26万円×9.91%÷2 12,883円
    厚生年金保険料 26万円×18.3%÷2 23,790円
    合計 - 36,673円

    標準報酬月額は実際の給与額を等級表に当てはめて決定されます。
    詳しくは次のセクションで解説します。

    社会保険料は日割り計算されない

    社会保険料は月単位で計算されます。
    月途中入社でも日割り計算されず、1ヶ月分の保険料が発生してしまうんです

    健康保険法第156条により、保険料は資格取得月から資格喪失月の前月まで、月単位で徴収されます。
    そのため、月の1日に入社しても31日に入社しても、その月の保険料は同額です。

    日割り計算されないケースの例
    • 4月1日入社:4月分の保険料1ヶ月分が発生
    • 4月15日入社:4月分の保険料1ヶ月分が発生(日割りなし)
    • 4月30日入社:4月分の保険料1ヶ月分が発生(日割りなし)

    月途中入社の場合、給与は日割りで支給されることが多いですが、社会保険料は1ヶ月分が発生します。
    そのため、入社月は手取り額が少なくなる可能性を理解しておきましょう。

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    中途入社の社会保険料計算に必要な標準報酬月額とは

    標準報酬月額とは、社会保険料を計算するための基準となる金額です。
    実際の給与額を等級ごとに区分した金額であり、毎月の給与額が多少変動しても標準報酬月額は原則として変わりません。

    ここでは、中途入社時の標準報酬月額の決まり方、等級表の見方、標準報酬決定通知書について解説します。

    標準報酬月額のポイント
    • 標準報酬月額の決まり方(入社時の決定方法)
    • 標準報酬月額等級表の見方
    • 標準報酬決定通知書はいつ届く?届かない場合の対処法

    標準報酬月額の決まり方(入社時の決定方法)

    中途入社時は「資格取得時決定」により、入社時の雇用契約に基づく見込み報酬額から標準報酬月額が決定されます。

    報酬月額の計算には、基本給だけでなく通勤手当・住宅手当・家族手当などの固定的な手当も含まれます。
    出張手当などの変動する手当は含まれません。

    項目 内容
    報酬月額に
    含まれるもの
    基本給、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当など
    報酬月額に
    含まれないもの
    出張手当など

    資格取得時に決定された標準報酬月額は、1〜5月入社ならその年の8月まで、6〜12月入社なら翌年の8月まで適用。
    その後は毎年9月の定時決定により見直されます。

    標準報酬月額等級表の見方

    標準報酬月額は、報酬月額に応じて等級で区分されています。
    健康保険は1〜50等級(5万8千円〜139万円)、厚生年金は1〜32等級(8万8千円〜65万円)に分かれています。

    以下は、一般的な給与帯における標準報酬月額の例です。

    健康保険等級 厚生年金等級 標準報酬月額 報酬月額の範囲
    第17等級 第14等級 200,000円 195,000円以上 210,000円未満
    第19等級 第16等級 240,000円 230,000円以上 250,000円未満
    第20等級 第17等級 260,000円 250,000円以上 270,000円未満
    第21等級 第18等級 280,000円 270,000円以上 290,000円未満
    第23等級 第20等級 320,000円 310,000円以上 330,000円未満
    第25等級 第22等級 360,000円 350,000円以上 370,000円未満

    たとえば、月給(基本給+手当)が25万円の場合、報酬月額は「25万円以上27万円未満」の範囲に該当します。
    よって標準報酬月額は26万円(健康保険20等級・厚生年金17等級)となります。

    協会けんぽのWebサイトでは都道府県別の保険料額表が公開されています。
    自分の標準報酬月額から保険料を確認できるので、気になる方は見てみてください。

    標準報酬決定通知書はいつ届く?届かない場合の対処法

    標準報酬決定通知書は、資格取得届提出後、会社を通じて約2週間〜1ヶ月程度で届きます。
    通知書に書かれているのが、標準報酬月額と等級です。

    届かない場合は、まず会社の人事・総務部門に届いていないか確認しましょう。
    通知書は会社宛に届くため、会社から受け取る必要があります。

    標準報酬決定通知書が届かない場合の対処法
    • まず会社の人事・総務部門に届いていないか確認する
    • 会社にも届いていなければ、管轄の年金事務所に問い合わせる
    • ねんきんネットで自分の標準報酬月額を確認することも可能

    なお、事業主は入社日から5日以内に「被保険者資格取得届」を提出する義務があります。
    届出が遅れると通知書の届く時期も遅くなります。

    中途入社の社会保険料はいつから発生・控除される?

    社会保険料は、入社日(資格取得日)の属する月から発生します。
    ただし、給与からの控除は翌月からが原則です。

    ここでは、発生タイミングと控除開始時期の違い、国民健康保険との切り替え時の注意点を解説します。

    社会保険料の発生・控除のポイント
    • 社会保険料の発生タイミング(資格取得日)
    • 給与からの控除開始時期(翌月控除が原則)
    • 入社月の国民健康保険料との二重払いに注意

    社会保険料の発生タイミング(資格取得日)

    社会保険料は、資格取得日(=入社日)の属する月から発生。
    月途中入社でも当月から被保険者となり、1ヶ月分の保険料が発生します。

    たとえば、4月15日に入社した場合、4月から社会保険の被保険者となります。
    結果として、4月分の保険料から発生。
    4月30日に入社した場合でも同様に、4月分の保険料がかかります。

    入社日 資格取得日 保険料発生月
    4月1日 4月1日 4月分から発生
    4月15日 4月15日 4月分から発生
    4月30日 4月30日 4月分から発生

    給与からの控除開始時期(翌月控除が原則)

    社会保険料は発生月と控除月が異なります。
    多くの会社では「翌月控除」を採用。
    当月分の保険料は翌月の給与から控除されます。

    たとえば、4月入社の場合、4月分の社会保険料は5月の給与から控除されます。
    そのため、入社月の給与からは社会保険料が引かれていないことが多いです。

    翌月控除の例
    • 4月入社 → 4月分の保険料は5月給与から控除
    • 5月入社 → 5月分の保険料は6月給与から控除
    • 入社月の給与からは控除されないことが多い

    ただし、一部の会社では「当月控除」を採用している場合もあります。
    入社時に会社の給与計算ルールを確認しておくとよいでしょう。

    入社月の国民健康保険料との二重払いに注意

    月途中入社の場合、国民健康保険(国保)から社会保険への切り替えが発生します。
    原則として、保険料は月末時点で加入している保険に対して発生。
    月途中で社会保険に加入すればその月の国保保険料は発生しません。

    ただし、国民健康保険の脱退手続きは自動では行われません。
    入社後14日以内に市区町村の窓口で脱退手続きを行う必要があります。
    手続きを行わないと、国保の保険料が請求され続けてしまう可能性があります。

    国民健康保険の脱退手続き
    • 入社後14日以内に市区町村で脱退手続きが必要
    • 手続きに必要なもの:新しい健康保険証、国保の保険証、本人確認書類
    • 過払い分は還付されるが、手続きは2年以内に行う必要がある

    月途中入社・月末入社で社会保険料計算はどう変わる?

    入社タイミングによって社会保険料の発生月は変わりますが、保険料の金額自体は同じです。ここでは、月途中入社と月末入社のメリット・デメリット、具体的な金額シミュレーションを解説します。
    入社タイミングのポイント
    • 月途中入社の場合の社会保険料
    • 月末入社の場合の社会保険料
    • 入社タイミング別の社会保険料シミュレーション

    月途中入社での社会保険料

    月途中入社でも、社会保険料は日割り計算されず1ヶ月分が発生します。
    給与は日割りで支給されることが多いため、入社月は手取り額が少なくなる可能性があります。

    内容
    メリット ・入社月から社会保険の給付(傷病手当金など)の対象になる
    ・入社月から厚生年金の被保険者期間としてカウントされる
    デメリット ・給与が日割りでも社会保険料は1ヶ月分発生する
    ・入社月の手取り額が少なくなる可能性がある

    月末入社での社会保険料

    月末入社(例:4月30日入社)の場合、たとえ1日だけの勤務でも4月分の社会保険料が発生します。
    一方で、厚生年金の被保険者期間も1ヶ月分カウントされます。

    内容
    メリット ・厚生年金の加入月数が1ヶ月増え、将来の年金額に反映される
    ・国民年金から厚生年金に切り替わるため、年金額が増える
    ・すぐ健康保険証が発行され、医療費の3割負担が適用される
    デメリット ・給与が1日分でも社会保険料は1ヶ月分発生する
    ・稀に入社月の手取りがマイナスになる可能性がある
    ・翌月の給与から2ヶ月分の保険料が控除されることもある

    月末入社は手取りがマイナスになる?

    月末入社では給与が1日分しか発生しないのに、社会保険料は1ヶ月分かかります。
    そのため、手取りがマイナスになるケースがあります。

    ただし、当月控除か翌月控除かで状況が変わります。

    【計算例】4月30日入社・月給25万円(標準報酬月額26万円)の場合

    当月控除の会社では、4月の給与約8,333円から4月分の社会保険料36,673円が控除され、約28,340円のマイナスになります。
    不足分は翌月給与から差し引かれるのが一般的です。

    翌月控除の会社では4月の給与から控除はありません。
    その代わり、5月の給与から4月分・5月分の2ヶ月分(合計73,346円)が控除されます。
    「入社2ヶ月目の給与が少ない」と感じる原因は、ここにあります。

    なお、手取りがマイナスになること自体は違法ではありません。
    社会保険料は労使折半で徴収する義務があるためです。

    入社月の手取りが想定と違う場合は、給与明細でどのタイミングに何ヶ月分が控除されているかを確認し、人事・総務部門に問い合わせてみましょう。

    入社タイミング別の社会保険料シミュレーション

    東京都で40歳未満の従業員負担額は、月給25万円(標準報酬月額26万円)の場合、月額約36,673円です。
    入社日がいつであっても保険料額は変わりませんが、控除開始月が異なります。

    入社日 保険料発生月 控除開始月
    (翌月控除の場合)
    従業員負担額/月
    4月1日 4月から 5月給与から 36,673円
    4月15日 4月から 5月給与から 36,673円
    4月30日 4月から 5月給与から 36,673円
    5月1日 5月から 6月給与から 36,673円
    40歳以上の場合は、上記に介護保険料(約2,067円)が加算され、月額約38,740円となります。

    転職後に社会保険料が高いと感じる理由と計算の仕組み

    転職後に「社会保険料が上がった」と感じる人は少なくありません。
    ここでは、前職より保険料が高くなるケースと、標準報酬月額が変わるタイミングについて解説します。

    転職後の社会保険料のポイント
    • 前職より社会保険料が高くなるケース
    • 標準報酬月額が変わるタイミング
    • 定時決定と随時改定の違い

    前職より社会保険料が高くなるケース

    転職後に社会保険料が高くなる主な理由は3つあります。
    社会保険料が高くなる理由
    • 報酬が増えた:転職で年収が上がれば標準報酬月額も上がり、保険料が増加する
    • 都道府県の違い:健康保険料率は都道府県で異なる(最大1.34%の差)
    • 健保組合から協会けんぽへの変更:大企業の健保組合は保険料率が低いことが多い

    特に、大企業から中小企業へ転職した場合、健康保険組合から協会けんぽに変わることで保険料率が上がることがあります。
    協会けんぽの健康保険料率は都道府県で異なり、2025年度は佐賀県が10.78%。
    沖縄県が9.44%と、最大1.34%の差があります。

    標準報酬月額が変わるタイミング

    標準報酬月額は、以下の3つのタイミングで変わります。
    タイミング 内容 適用期間
    資格取得時決定 入社時の見込み報酬で決定 入社月〜最初の8月まで
    定時決定 毎年4〜6月の報酬平均で決定 9月〜翌年8月
    随時改定 固定給が大きく変動した場合 変動の4ヶ月目から

    転職時は「資格取得時決定」により、新しい報酬見込みで標準報酬月額が決定。
    その後は原則として毎年9月に定時決定により見直されます。

    定時決定と随時改定の違い

    定時決定と随時改定は、標準報酬月額を変更する2つの仕組みです。
    定時決定とは、毎年7月1日現在の被保険者について、4〜6月に支払われた報酬の平均から標準報酬月額を決定。
    9月から翌年8月まで適用するものです。

    随時改定とは、固定的賃金が大きく変動した場合に行われます。
    以下の3条件すべてを満たす場合に適用されます。

    随時改定の3条件
    • 固定的賃金(基本給、役職手当など)に変動があった
    • 変動後3ヶ月間の報酬平均が2等級以上変わった
    • 3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上ある

    入社初年度で4〜6月の報酬が揃わない場合は定時決定の対象外。
    入社時決定された標準報酬月額がそのまま適用されます。

    中途入社の社会保険料計算に関するよくある質問

    最後に、中途入社の社会保険料計算に関してよくある質問をまとめました。
    当サイトの管理者
    牧江重徳

    社会保険労務士法人 牧江&パートナーズ
    会長 牧江 重徳(まきえ しげのり)

    【資格】
    特定社会保険労務士
    行政書士
    社会福祉士・介護福祉士・ケアマネージャー

    関西大学卒業後、約10年間の会社勤務を経て、昭和52年8月、社会保険労務士として独立しました。
    同年10月には行政書士事務所を併設。平成31年には事務所を法人化しました。

    「常にお客様と共にあり」をモットーとして、多くのお客様からご愛顧を賜り、創業50周年を迎えます。
    現在、職員60人を擁する西日本有数の社会保険労務士法人に成長しました。

    牧江税理士

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    企業の人事・労務管理のプロとして、『企業防衛型』就業規則 の作成、労務トラブルの解決等のアドバイスから、社会保険・労働保険の事務手続き代行、給与計算、マイナンバーの管理までトータルにサポートいたします。

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