パートの有給休暇はいくらもらえる?金額計算と平均賃金の仕組み

makieoffice社労士コラム

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パートやアルバイトで働いていると、有給休暇を取得した際「いくらもらえるのか」が気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、パートにおける有給休暇の金額は、会社が採用している計算方法によって異なります

計算方法は下記の3つ。
どれを使うかは就業規則で定められています。

  • 通常の賃金
  • 平均賃金
  • 標準報酬日額

本記事では、労働基準法に基づき、パート・アルバイトの有給休暇金額計算方法を詳しく解説。
付与日数の仕組みや、金額が少ないと感じたときの確認ポイントまで、実用的な情報をまとめました。

この記事で分かること
  • パートの有給休暇の金額を決める3つの計算方法
  • 通常の賃金・平均賃金・標準報酬日額の具体的な計算式
  • 週4日・週3日勤務の付与日数と金額の関係
  • 金額が少ないと感じたときの確認ポイントと対処法

Table of Contents

    パートやアルバイトでも、一定の条件を満たせば有給休暇を取得可能です。
    有給休暇を取得した日には賃金が支払われますが、その金額は会社が採用する計算方法によって異なります。

    ここでは、パートの有給休暇の基本的な仕組みと、金額を決める3つの計算方法について解説します。

    このセクションのポイント
    • パート・アルバイトにも有給休暇は発生する
    • 有給休暇の金額を決める3つの計算方法

    パート・アルバイトにも有給休暇は発生する

    パートやアルバイトでも、労働基準法第39条により有給休暇を取得する権利があります。
    正社員だけでなく、雇用形態に関わらずすべての労働者に適用される制度です。
    有給休暇が付与される条件は、以下の2つです。

    有給休暇が付与される条件
    • 雇い入れの日から6ヶ月以上継続して勤務していること
    • その期間の全労働日の8割以上出勤していること

    上記条件を満たせば、週1日勤務のパートでも有給休暇が付与されます。
    2019年4月以降、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、会社は年5日の有給休暇を取得させることが義務付けられました。

    有給休暇は労働者の権利です。
    パートだからといって取得できないということはありません
    会社から「パートに有給はない」と言われた場合、労働基準法違反の可能性があります。

    有給休暇の金額を決める3つの計算方法

    有給休暇を取得した日の賃金は、労働基準法第39条第9項により、以下の3つの方法のいずれかで計算されます。
    計算方法 概要 パートへの適用
    通常の賃金 その日働いていたら得られる賃金 最も一般的
    平均賃金 過去3ヶ月の賃金総額÷暦日数 シフト変動が多い場合に使用
    標準報酬日額 標準報酬月額÷30 社会保険加入者に限定

    どの計算方法を使うかは、会社の就業規則で定められています。
    多くの企業では、計算が簡単な「通常の賃金」方式を採用しています。計算方法によって金額に差が出ることも。
    自分の会社がどの方法を採用しているかを確認しておくことが大切です。

    パートの有給休暇金額計算方法を詳しく解説

    有給休暇の金額は計算方法によって異なります。
    ここでは、3つの計算方法それぞれの具体的な計算式と計算例を紹介。
    自分のケースに当てはめて、いくらもらえるか確認してみてください。

    このセクションのポイント
    1. 通常の賃金で計算する方法
    2. 平均賃金で計算する方法
    3. 標準報酬日額で計算する方法
    4. どの計算方法が使われるかは就業規則で決まる

    ①通常の賃金で計算する方法

    「通常の賃金」方式は、その日働いていたら得られるはずの賃金をそのまま支払う方法です。パートの場合は「時給×所定労働時間」で計算します。

    通常の賃金の計算式
    有給休暇1日の金額 = 時給 × 所定労働時間

    具体的な計算例を見てみましょう。

    計算例:時給1,200円、1日6時間勤務の場合
    有給休暇1日の金額 = 1,200円 × 6時間 = 7,200円

    通常の賃金方式のメリットは、計算がシンプルでわかりやすいこと。
    普段の日給と同じ金額が支払われるため、労働者にとっても予測しやすい方法です。
    多くの企業がこの方法を採用しており、パートにとって最もなじみのある計算方法といえるでしょう。

    ②平均賃金で計算する方法

    「平均賃金」方式は、過去3ヶ月間の賃金総額を暦日数で割って算出する方法です。
    労働基準法第12条で定義されています。

    平均賃金の計算式
    • 原則:直近3ヶ月の賃金総額 ÷ 暦日数(約90日)
    • 最低保障:直近3ヶ月の賃金総額 ÷ 労働日数 × 0.6
    • 上記2つを比較して高い方を適用

    パートやアルバイトの場合、暦日数で割ると金額が低くなりやすいため、最低保障額との比較が重要になります。
    具体的な計算例を見てみましょう。

    計算例:過去3ヶ月の賃金総額24万円、労働日数36日の場合
    原則:240,000円 ÷ 91日 = 2,637円
    最低保障:240,000円 ÷ 36日 × 0.6 = 4,000円
    → 高い方の4,000円が有給休暇1日の金額となる

    平均賃金方式の注意点は、直近3ヶ月のシフトが少ないと金額も下がること。
    繁忙期と閑散期で勤務日数に差がある場合、有給を取得するタイミングによって金額が変わる可能性があります。

    ③標準報酬日額で計算する方法

    「標準報酬日額」方式は、健康保険の標準報酬月額を30で割った金額で支払う方法です。
    この方法を採用するには、労使協定の締結が必要です。

    標準報酬日額の計算式
    標準報酬日額 = 標準報酬月額 ÷ 30

    具体的な計算例を見てみましょう

    計算例:標準報酬月額18万円の場合
    標準報酬日額 = 180,000円 ÷ 30 = 6,000円

    標準報酬日額方式は、社会保険に加入している労働者に限定される方法。
    週の所定労働時間が短いパートは、社会保険に未加入のケースも多いです。
    そのため、標準報酬日額が適用されることは少ないでしょう。

    どの計算方法が使われるかは就業規則で決まる

    有給休暇の賃金計算方法は、会社の就業規則で定められています。
    労働基準法では3つの方法を認めていますが、どれを採用するかは会社が決めて構いません。

    就業規則は労働者に周知する義務があるため、会社に閲覧を求めることが可能。
    自分の有給休暇がいくらになるか知りたい場合は、まず就業規則を確認しましょう。

    就業規則の確認方法
    • 会社の事務所や休憩室に掲示されている場合がある
    • 人事担当者や上司に閲覧を依頼する
    • 社内イントラネットで公開されている場合もある

    就業規則に計算方法が明記されていない場合や、そもそも就業規則がない場合もあるかもしれません。
    その場合は、会社に確認するか、労働基準監督署に相談することをおすすめします。

    パートの有給休暇付与日数と金額の関係

    有給休暇でもらえる金額の総額は、「1日あたりの金額 × 付与日数」で決まります。
    ここでは、パートの付与日数の仕組みを解説します。

    このセクションのポイント
    • 週の勤務日数による比例付与の仕組み
    • 勤続年数による付与日数の増加

    週の勤務日数による比例付与の仕組み

    週の所定労働時間が30時間未満かつ週4日以下勤務のパートには、「比例付与」が適用されます。
    これは、労働日数に応じて付与日数を調整する仕組みです。
    週4日勤務なら入社半年後に7日、週3日勤務なら5日が付与されます

    パートの有給休暇付与日数表(比例付与)

    週所定
    労働日数
    6ヶ月以上 1年6カ月以上 2年6ヶ月以上 3年6ヶ月以上 4年6ヶ月以上 5年6ヶ月以上 6年6ヶ月以上
    4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
    3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
    2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
    1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

    注意が必要なのは、1日8時間×週4日勤務の場合です。
    週の所定労働時間が32時間となり、30時間を超えてしまいます。
    上記の場合、比例付与ではなく通常付与(入社半年後に10日)が適用されます。

    勤続年数による付与日数の増加

    有給休暇の付与日数は、勤続年数が長くなるほど増加。
    フルタイムパート(週30時間以上または週5日以上勤務)の場合、正社員と同じ付与日数が適用されます。

    フルタイムパートの有給休暇付与日数

    勤続年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
    付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
    有給休暇は発生日から2年で時効消滅するため、繰越と合わせて最大40日まで保有できます。使わないともったいないので、計画的に取得することをおすすめします。

    パートの有給休暇の金額が少ないと感じたときの確認ポイント

    有給休暇の金額が思っていたより少ないと感じたことはありませんか。
    実は、計算方法やシフトの変動によって金額に差が出ることがあります。
    ここでは、金額が少ないと感じたときの確認ポイントを解説します。

    このセクションのポイント
    • 会社が採用している計算方法を確認する
    • シフトの変動が平均賃金に影響している可能性
    • 不当に少ない場合は労働基準監督署に相談

    会社が採用している計算方法を確認する

    まずは、会社がどの計算方法を採用しているかを確認しましょう。
    計算方法によって金額に差が出ることがあります。
    「通常の賃金」方式なら、時給×所定労働時間で計算されます。

    結果として、普段の日給と同額です。
    一方、「平均賃金」方式の場合は、暦日数で割るため金額が低くなりやすい傾向があります。

    例:時給1,200円、週3日(1日5時間)勤務の場合
    【通常の賃金方式】1,200円 × 5時間 = 6,000円
    【平均賃金方式(過去3ヶ月の賃金総額234,000円、労働日数39日)】原則:234,000円 ÷ 91日 = 2,571円最低保障:234,000円 ÷ 39日 × 0.6 = 3,600円
    → 3,600円(最低保障額を適用)

    このように、同じ勤務条件でも計算方法によって2倍近い差が出ることがあります。

    シフトの変動が平均賃金に影響している可能性

    「平均賃金」方式を採用している会社の場合、直近3ヶ月のシフトが少ないと有給休暇の金額も減少。
    繁忙期にたくさん働いた月と、閑散期であまり働かなかった月では、平均賃金に大きな差が出ることがあります。

    平均賃金が下がるケース
    • 閑散期でシフトが減った後に有給を取得した場合
    • 体調不良などで欠勤が多かった月がある場合
    • 直近3ヶ月に祝日や年末年始休暇が多かった場合

    有給休暇の金額を多くもらいたい場合は、シフトが多い時期に取得するのも一つの方法。
    ただし、これは「平均賃金」方式を採用している会社に限った話です。

    不当に少ない場合は労働基準監督署に相談

    有給休暇の賃金についても、最低賃金法が適用されます。
    計算した結果、時間あたりの賃金が最低賃金を下回る場合は違法です。
    また、以下のような場合も労働基準法違反の可能性があります。

    労働基準法違反の可能性があるケース
    • 有給休暇を取得しても賃金が支払われない
    • 就業規則に定められた計算方法と異なる計算がされている
    • 最低賃金を下回る金額しか支払われない
    • 有給休暇の取得を理由に不利益な扱いを受けた

    おかしいと感じたら、最寄りの労働基準監督署に相談することをおすすめします
    相談は無料。
    匿名でも受け付けてもらえます。

    パートの有給休暇に関するよくある質問

    まとめ

    パートやアルバイトでも、労働基準法に基づき有給休暇を取得する権利があります。
    しかしながらもらえる金額は、会社が採用する計算方法によって違うので注意が必要です。

    この記事のまとめ
    • パートの有給休暇の金額は「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つの方法で計算される
    • 多くの企業は「通常の賃金」方式(時給×所定労働時間)を採用している
    • 「平均賃金」方式では、直近3ヶ月のシフトが少ないと金額も下がる
    • 週4日勤務なら入社半年後に7日、週3日勤務なら5日が付与される(比例付与)
    • 金額に疑問がある場合は、まず就業規則を確認し、必要に応じて労働基準監督署に相談を

    自分の有給休暇がいくらになるか知りたい場合は、まず会社の就業規則で計算方法を確認しましょう。

    金額が不当に少ないと感じた場合は、労働基準監督署に相談することもできます。
    有給休暇は労働者の大切な権利。

    パートだからといって遠慮する必要はありません。
    計画的に取得して、しっかり休養を取りましょう。

    当サイトの管理者
    牧江重徳

    社会保険労務士法人 牧江&パートナーズ
    会長 牧江 重徳(まきえ しげのり)

    【資格】
    特定社会保険労務士
    行政書士
    社会福祉士・介護福祉士・ケアマネージャー

    関西大学卒業後、約10年間の会社勤務を経て、昭和52年8月、社会保険労務士として独立しました。
    同年10月には行政書士事務所を併設。平成31年には事務所を法人化しました。

    「常にお客様と共にあり」をモットーとして、多くのお客様からご愛顧を賜り、創業50周年を迎えます。
    現在、職員60人を擁する西日本有数の社会保険労務士法人に成長しました。

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