
退職月の給料がいつ振り込まれるのか、いくらもらえるのか。
気になる方は多いでしょう。
退職月の給料は日割り計算や社会保険料の控除などにより、通常月と金額が異なることがあります。
この記事では、退職月の給料の計算方法や支払いタイミング、控除される項目について詳しく解説。
給料が少なくなる理由や振り込まれない場合の対処法まで。
退職前に知っておきたい情報をまとめました。
- 退職月の給料はいつもらえる?支払いタイミング
- 退職月の給料の計算方法(日割り計算の3パターン)
- 退職月の給料が少ない理由(控除される項目)
- 社会保険料の仕組み(月末退職と月途中退職の違い)
- 給料が振り込まれない場合の対処法
Table of Contents
退職月の給料がいつ支払われるかは、会社の給与支払い方式(当月払い・翌月払い)によって異なります。
労働基準法第23条では、退職者から請求があれば7日以内に賃金を支払うのが義務。
退職前に自社の支払い方式を確認し、最後の給料がいつ振り込まれるか把握しておきましょう。
- 当月払いの場合の退職月給料
- 翌月払いの場合の退職月給料
- 退職後に最後の給料を受け取る方法
当月払いの場合の退職月給料
当月払いの会社では、退職月の給料は通常の給料日に支払われます。
例えば、毎月25日が給料日の会社で月末に退職した場合、その月の25日に給料が振り込まれます。
ただし、退職者から請求があれば、労働基準法第23条に基づき7日以内に支払うのが義務。
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
この規定は強行法規であるため、就業規則よりも優先されます。
すぐに給料が必要な場合は、会社に請求することで早期の支払いを受けることが可能なのです。
翌月払いの場合の退職月給料
翌月払いの会社では、退職月の給料は翌月の通常給料日に支払われます。
例えば、7月末に退職した場合、7月分の給料は8月の給料日です。
翌月払いは前月分の勤務実績に基づく支払い。
退職後も口座への振込が継続されるのが一般的です。
ただし、請求があれば7日以内の支払い義務が発生します。
■当月払いと翌月払いの違い
| 支払い方式 | 退職月の給料支払いタイミング |
| 当月払い | 退職月の通常給料日(例:7月退職→7月25日) |
| 翌月払い | 退職月の翌月の給料日(例:7月退職→8月25日) |
退職後に最後の給料を受け取る方法
退職後の給料は、原則として在籍中と同じ口座に振り込まれます。
口座を解約する予定がある場合は、事前に届け出ましょう。
手渡しでの受け取りを希望する場合は会社に相談が必要。
なお手渡しの場合は、労働基準法第23条の7日ルールが適用されません。
就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りるとされています。
退職月の給料の計算方法|日割り計算の3パターン
月途中で退職する場合、退職月の給料は日割り計算されます。
計算方法は法律で定められていません。
よって会社ごとに異なります。
計算方法は主に「暦日」「所定労働日数」「月平均所定労働日数」の3パターン。
計算結果に数万円の差が出ることもあるため、自社のルールを確認することが重要です。
- 暦日で日割り計算する方法
- 退職月の所定労働日数で計算する方法
- 月平均の所定労働日数で計算する方法
暦日で日割り計算する方法
暦日計算は「月給÷その月の暦日数×出勤日数」で計算します。
最もシンプルな計算方法で、多くの企業で採用されている方法です。
【計算例】
基本給20万円、11月(30日)に15日間勤務した場合
20万円÷30日×15日=10万円
月によって暦日数が異なるため(28日~31日)、同じ出勤日数でも金額が変動する点に注意しましょう。
退職月の所定労働日数で計算する方法
所定労働日数計算は「月給÷その月の所定労働日数×出勤日数」で計算します。
土日祝を除いた日数が基準となり、暦日計算より金額が高くなる傾向です。
【計算例】
基本給20万円、所定労働日数22日の月に15日間勤務した場合
20万円÷22日×15日=約13万6,364円
暦日計算と比較すると、同じ条件でも約36,000円の差が出ます。
何月に退職するかによって支給額が変動する点に注意しましょう。
月平均の所定労働日数で計算する方法
月平均計算は「月給÷年間の月平均所定労働日数×出勤日数」で計算します。
年間所定労働日数÷12で月平均を算出するため、いずれの月でも1日当たりの単価は同じです。
【計算例】
基本給20万円、月平均所定労働日数20.5日、15日間勤務した場合
20万円÷20.5日×15日=約14万6,341円
月による損得が生まれず、計算の透明性が高いため、従業員への説明がしやすい方法です。
■3つの計算方法の比較(基本給20万円、15日間勤務の場合)
| 計算方法 | 計算式 | 支給額 |
| 暦日計算(30日の月) | 20万円÷30日×15日 | 100,000円 |
| 所定労働日数計算(22日) | 20万円÷22日×15日 | 約136,364円 |
| 月平均所定労働日数計算(20.5日) | 20万円÷20.5日×15日 | 約146,341円 |
退職月の手当はどう計算される?
各種手当の扱いは種類によって異なります。
通勤手当は実際の出勤日数分が支給されるのが一般的。
一方、住宅手当や扶養手当は出勤日数に関係なく生活の負担を補う性質があります。
満額支給されることが多いでしょう。
- 通勤手当:実際の出勤日数分を日割り計算
- 住宅手当:満額支給されることが多い
- 扶養手当:満額支給されることが多い
- 役職手当:会社の規定による
手当の取り扱いは会社の就業規則によって異なります。
退職前に人事部門に確認しておきましょう。
退職月の給料が少ない理由|控除される項目を解説
退職月の給料が思ったより少ないと感じる人は多いです。
主な原因は、下記となります。
- 社会保険料が2ヶ月分控除されるケース
- 住民税の一括徴収による減額
- 所得税の精算と控除
- 日割り計算による基本給の減額
社会保険料が2ヶ月分控除されるケース
月末退職で当月払いの場合、退職月の給料から2ヶ月分の社会保険料が控除されることがあります。
これが給料が大幅に少なくなる主な原因です。
社会保険料は一般的に当月分を翌月給与から控除(翌月控除)。
月末退職だと退職月分の保険料も発生してしまいます。
結果として、前月分と当月分の2ヶ月分を控除する必要があります。
- 6月分社会保険料(通常どおり控除)
- 7月分社会保険料(退職月分として追加控除)
→ 2ヶ月分の社会保険料が控除される。
住民税の一括徴収による減額
1月1日〜4月30日に退職する場合、残りの住民税(5月分まで)が最後の給料から一括徴収。
数万円単位の控除となることもあります。
■退職月による住民税の一括徴収
| 退職時期 | 住民税の取り扱い |
| 1月〜4月退職 | 5月分まで一括徴収(義務) |
| 5月退職 | 5月分のみ徴収 |
| 6月〜12月退職 | 普通徴収に切り替え、または一括徴収を選択可 |
所得税の精算と控除
退職月の所得税は通常通り源泉徴収。
年末調整は行われないため、年の途中で退職した場合は確定申告で精算が必要になることがあります。
年末調整で還付される予定だった税金は、確定申告で取り戻すことが可能です。
源泉徴収票は必ず受け取っておきましょう。
日割り計算による基本給の減額
月途中退職では基本給が日割り計算されるため、通常より大幅に少なくなります。
月初(1日〜5日頃)退職だと、出勤日数が少なく基本給がほぼ0円に近くなることも。
控除額(社会保険料・住民税など)が支給額を上回り、手取りがマイナスになるケースもゼロではありません。
この場合、不足分を会社に支払う必要があります。
退職月の給料から引かれる社会保険料の仕組み
退職月の社会保険料は、退職日(月末か月途中か)によって大きく異なります。
社会保険の資格喪失日は「退職日の翌日」。
この日がいつの月に属するかで保険料の発生有無が決まります。
退職月の社会保険料は、退職日(月末か月途中か)によって大きく異なります。
社会保険の資格喪失日は「退職日の翌日」。
この日がいつの月に属するかで保険料の発生有無が決まります。
- 月末退職と月途中退職での社会保険料の違い
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の計算
- 資格喪失日と社会保険料の関係
月末退職と月途中退職での社会保険料の違い
月末退職は当月分の社会保険料が発生し、月途中(月末の1日前など)退職では発生しません。
この違いで手取り額に数万円の差が出ます。
■月末退職と月途中退職の社会保険料比較
| 退職日 | 資格喪失日 | 退職月の社会保険料 |
| 7月31日(月末) | 8月1日 | 発生する(2ヶ月分控除の可能性) |
| 7月30日(月途中) | 7月31日 | 発生しない |
ただし、月途中退職は国民健康保険・国民年金への切り替えが必要になります。
保障面も考慮して判断しましょう。
健康保険・厚生年金・雇用保険の計算
健康保険・厚生年金は月単位で計算され、日割りはありません。
1日しか在籍しなかったとしても1ヶ月分の保険料が発生します。
一方、雇用保険は退職月の給料に対して計算されます。
- 健康保険・厚生年金:月単位(日割りなし)
- 雇用保険:給与に対して計算(約0.6%)
- 1日でも在籍すれば1ヶ月分の保険料が発生
資格喪失日と社会保険料の関係
資格喪失日は退職日の翌日です。
社会保険料は「資格喪失日の属する月の前月分まで」発生するため、月末退職と月途中退職で保険料が異なります。
- 5月31日退職→資格喪失日6月1日→5月分の保険料発生(2ヶ月分控除)
- 5月30日退職→資格喪失日5月31日→5月分の保険料は発生しない
退職月の給料が振り込まれない場合の対処法
退職後に給料が振り込まれない場合、まずは原因を確認し、適切に対処することが重要です。
労働基準法では、退職者から請求があれば7日以内に賃金を支払う義務があります。
違反した場合は30万円以下の罰金が科されます。
- 給料が振り込まれない原因と確認ポイント
- 会社への問い合わせ方法
- 未払いの場合の法的対処
給料が振り込まれない原因と確認ポイント
給料が振り込まれない主な原因は、口座情報の誤り、支払日の認識違い、会社側の手続き遅延など。
まずは以下の点を確認しましょう。
- 給与支払日(当月払いか翌月払いか)
- 振込口座の情報に誤りがないか
- 給与明細の発行状況
- 会社の経理処理状況
会社への問い合わせ方法
支払日を過ぎても振り込まれない場合は、人事部門または経理部門に連絡してください。
書面やメールで記録を残すことが重要です。
労働基準法第23条に基づき、請求すれば7日以内に支払う義務があることを伝えましょう。
「給与支給日まで待ってください」という対応は法律に反します。
未払いの場合の法的対処
- 労働基準監督署への相談・申告
- 内容証明郵便での請求
- 支払督促(裁判所を通じた手続き)
- 少額訴訟(60万円以下の場合)
- 労働審判
退職月の給料に関するよくある質問
- 退職月の給料が少なすぎるのはなぜ?
- 退職月の給料はいつ振り込まれる?
- 月末退職と月途中退職、どちらが得?
- 退職月の給料から社会保険料は引かれる?
- 退職月の給料に退職金は含まれる?
- 退職月の給料が2ヶ月分もらえることはある?
- 退職月の給料がマイナスになることはある?
- 有給消化中の給料はどうなる?
- 退職月の給料明細はいつもらえる?
- 退職月の住民税はどうなる?
- 公務員の退職月の給料は民間と違う?
- 転職先が決まっている場合の注意点は?

社会保険労務士法人 牧江&パートナーズ
会長 牧江 重徳(まきえ しげのり)
【資格】
特定社会保険労務士
行政書士
社会福祉士・介護福祉士・ケアマネージャー
関西大学卒業後、約10年間の会社勤務を経て、昭和52年8月、社会保険労務士として独立しました。
同年10月には行政書士事務所を併設。平成31年には事務所を法人化しました。
「常にお客様と共にあり」をモットーとして、多くのお客様からご愛顧を賜り、創業50周年を迎えます。
現在、職員60人を擁する西日本有数の社会保険労務士法人に成長しました。




